孤島の垂涎
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発行者:千華
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2013/02/21
最終更新日:2013/03/02 21:44

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孤島の垂涎 第3章 万劫島へようこそ。
忙しなく頭を動かして景色を堪能していると
エヴァンスは『そう言えば……』と、ハンドルを握りなおした。
信号が見当たらない道路に一度寄せて停止し、
大事な話があるかのように姉妹の方へと振り返る。

「この島は少々特殊でしてね。
皆、名前で名乗り合い、名前で呼び合ってます。
よって、姓は使わない方がよろしいかもしれません」
「そうなんですか。なんかちょっと照れますね」

同性の女子から名前で呼ばれることはかまわないが、
異性から名前で呼ばれるのは少し恥ずかしい。
まぁ島には女性も男性も沢山いると思うし、
初めは慣れないかもしれないが、そのうち違和も消えるだろう。

柊、と言う姓が一時的に消えてしまうことになるが
それがこの島のルールなら仕方ない。

「ふふ。別に名乗っても構いませんが、皆さんヒイラギアオイが名前だと
思い込んで、以後そう呼ばれ続けるかも知れませんよ?」

それは長い名前だ。
あまりにも不自然なので、
やはり柊の姓は一時的に使用禁止にした方がいいだろう。
それに、名前で呼ばれるのも嫌いではない。
より一層親密度が増した気もするし、滞在中は楽しく過ごしたい。
エヴァンスの忠告を有難く受け取った二人は
さらに遠くの滞在地まで、再び車を走らせた。




10分程走った車は、ようやく海を目の前にして停止する。
「あちらが、お二人の住まいになります」
「水上コテージ!」

紫の言葉に、葵もウンウンと頷く。
海の上に、規則正しい間隔で浮かぶ様々なコテージ。
青い海、磯の香り、鳥の鳴き声、大きなコテージ。
夢を見ているんじゃないかと、頬を抓りたくなってしまう。

先を歩くエヴァンスから離れないように歩くものの、
一面海と雲に囲まれているせいか、二人の興奮度合も激しくなる。
本当にこんなところに泊まっていいのか。しかも無料で。
逆に申し訳なくなるほど、この場所は美しかった。



――できれば、両親も揃って訪れたかった。


今となっては決して叶わない夢だが、願わずにはいられない。
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