ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第1章 ープロローグ
「そうね…陸奥は暗殺の一報を聞いて、全滅を避ける為に、陸援隊本部の有る土佐藩白川屋敷に逃げ込んだ…」
篠ノ井教授が続ける
「暗殺に関する陸奥の行動は、疑問符だらけだ。こんな近くにいながら手紙でやりとりしている。龍馬を擁護したわりには、暗殺に関する事は一切口を閉ざしている。私は、陸奥が黙って逝ったとは思えない。何かを残しているはずだ。文字ではない何かでね」
「暗号ですか……。龍馬暗殺で陸奥を疑っているのは教授だけです。暗殺者として文献を見るなら、それは有るかもしれませんね」
「陸奥は文献に暗号を残すような人物ではない。徹底した秘密主義者だ」
「では?どんな形で?」
「わからん。しかしいつか突き止めてみせるさ」


ずっと黙っていた館長が口を開いた。
「しかし。井上は天寿をまっとうせず。戊辰戦争で、腹ではなく頭に銃弾を受けて死んだ。そして、篠ノ井教授の発掘は消え、事件も消えた。IDカードは存在するが…」
「これは、本人に返還するとしよう」
篠ノ井教授は汚れたIDカードを理香子に差し出した。理香子は何やら上の空で受け取りながら言った。
「教授。文字で無い物で、陸奥が残した物と言ったら?」
教授は先を促した。
「外務省の銅像か?」
「ユキヒロ。自分で銅像をたてるわけないよ」
「自宅か?」
「考えてるの…邪魔しないで…まって!自宅 自宅。陸奥は、陸奥家の敷地に墓所を持ってた。そうか!」
「墓を死ぬ前に作ったとか?」
「墓じゃない!清地蔵よ。陸奥がたてた事は誰だって知ってる」
「俺は初耳だ」
「勉強して、ユキヒロ」
篠ノ井教授が手でストップをかけた。
「清地蔵の講義は後にするとして…清地蔵からの展開はほとんどないが、遠藤くんなりの視点で何か判るかもしれないな。行ってみるといい。行った事は有るかね?」
「いえ。陸奥はノーマークでしたから。でも行ってみます」
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