ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第6章 帰還
篠ノ井教授によって、坂本龍馬は京都見廻隊によって、額を割られて死亡したとする定説が確定するはず…だった。
星岡も理香子も日常に戻り、遺体が高知に帰還する日を待っていた。遺体の調査が埼玉清心大学で、篠ノ井教授の指揮のもと始まって、10日が経過した。
調査されているのは、橋本久太夫と坂本龍馬の遺体両方だ。篠ノ井教授は、久利坂から詳細を聞いているため、結論を導く手続きに過ぎない。途中経過を発表する記者会見の前日…事件は起こった。

助手の女学生がノートパソコンを持って、研究室に走り込んできた。
「篠ノ井教授!大変です」
「荻原くん。そんな物を持って走ってはいかん」
「見て下さい!襟に縫い付けてあった手紙の画像が、ネットにアップされてます!」
「なんだって!」
篠ノ井教授は、パソコンの画像を見た。見事な候文で、読む訓練を受けていないと読めない。しかし、歴史家のほとんどは読む事ができる。それは、陸奥宗光の告白で、坂本龍馬毒殺の詳細が書かれている。
「稲沢だな…写真を撮れたのは彼だけだ」
フィールドワークをやらせたら、最高の仕事をする学生だ。遺体の傷と矛盾する為に、公表を避けると言い聞かせたが、納得できなかったようだ。
篠ノ井教授は、携帯を取り出して、久利坂をコールした。

「篠ノ井です。陸奥の手紙がネット上に流出した。検索は坂本龍馬毒殺で…明日の記者会見は滅茶苦茶になる」
-待って下さい。こっちも出します…えっと。なるほど。偽物情報で、情報汚染します。アップした人物を特定して確保します。心当たりは?
「助手の学生です。優秀な学生です。何とかお手柔らかにお願いします」
ー情報操作で、大事には至りません。画像は、今削除しました。ただ、画像データを取り込んだ人間がどれくらいになるかは不明です。見つけ次第原因不明の不具合で、消去します
「ある意味彼は正しい。だが正しいだけでは、社会は壊れてしまう。坂本龍馬暗殺は、そう言う事件なんでしょう」
-篠ノ井教授。残念な話です
「残念だったのは、明治政府の危機に坂本龍馬を欠いた陸奥自身でしょう。廃藩置県…扶禄処分…西南…日清 日露戦争。暗殺。陸奥には抗う術も無かった。大久保の力押しと、外交に押し流されるままに、坂本龍馬を賛美するしかなかった」
-私の意見は違います。彼なりに最善を尽くしたと思います。それを否定すべきではない
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