ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第6章 帰還
久利坂は、星岡の横に座った。
「あ~テレビ見てますね?どうです?どう見ても坂本龍馬でしょ?篠ノ井教授に、嫌って言うほど駄目出しされましたからね」
顔は苦笑いになっている。
「龍馬さんの遺体はどこに?」
「埼玉清心大学…篠ノ井教授の大学の保管庫で、温度湿度バッチリで、待機してます。この遺体の調査は篠ノ井教授の研究室で行なわれるので、橋本久太夫は同じ保管庫に入れられます。調査が済めば、坂本龍馬は高知に、橋本久太夫は京都霊山に埋葬されます」
テレビでは、龍馬好きなタレントが興奮してしゃべっている。
「篠ノ井教授は、よく協力してくれましたね?」
「星岡さん。歴史家として、そのような欺瞞に加担できるかって怒鳴られましたよ」
「どうやったんです?」
「まぁあの手この手で攻めたんですが…意外な所に落としどころが有りました」
再び画面に映し出された篠ノ井教授を久利坂は見た。
「どうやら、私が文献に登場しているらしいんです。久利坂入道と言う名前で」
「やり過ぎましたね?」
理香子が言った。
「えぇ。私の話を聞いていて、私が久利坂入道だと、突然気付いたらしいんです」
「文献と符合したのね?」
「その通り。判っている部分と不明な部分がピッタリ合ってビックリ仰天だったんです。それで、不本意だが協力しようと言ってもらいました」
「篠ノ井教授もほぼ被害者だな…」
「そうでも無いでしょう。文献の山の中で一生さ迷い続ける運命から、救い出されたんですから」
「てっ事は?私達歴史研究者は、遭難してるわけ?」
「すいません理香子さん。それは、時代の地図である記録の不備であって、研究者の責任ではないと思います。政治的な意図でもって不備にされる事も有ります。それでも文献に分け入るのが、学者の任務でしょう」
星岡はテレビの中の篠ノ井教授を見た。
「でも、篠ノ井教授は真実を言えないんでしょ?」
「明治はまだ、この平成に繋がって、まだまだ影を落としている。しかし、いつかその繋がりも影も消える。その日の為に、歴史家は今日の真実を、言わなくても記録として未来に残す義務と責任が有ると思います。どうですか?理香子さん」
「はい。その通りです。いつか、私達も毒殺犯グループとして歴史に登場するのね」
星岡は嫌な顔をした。
「やめてくれよ。俺は坂本龍馬のファンなんだぜ!」
久利坂と理香子は笑った。
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