ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第5章 捜索
漆塗りに螺鈿細工を施した箱が畳の上に置かれた。組紐の封印がされていて、住職は小刀で組紐をプツッと切った。
「お開けください」
住職は箱を理香子の方に押して寄越した。
理香子は滑るような感触で箱を開けた。中には手紙が入っている。
「お待ち下さい。私どもは見ない事になっております。お済みになったら、おりんを三度鳴らしてお知らせ下さい」
住職は立ち上がって、本堂から出て行った。

「何て書いてある?」
「表に宛名はないね」
理香子は手紙を箱から取り出して見た。外側の筒状の紙から中身を抜くと、巻紙を開いた。見事な候文が、こぼれ落ちるように現れた。横から見ている星岡には、何が書いてあるのか読めない。理香子は黙って読み続けて言った。
「坂本龍馬毒殺の様子と、犯行に関わった人物の名前。遺体の場所が書いて有る。書いたのは陸奥本人」
「あの五輪塔なのか?」
「称名寺の五輪塔に坂本龍馬。高台寺の五輪塔に中岡慎太郎。藤吉と須田礼無ノ助に橋本久太夫が東山霊山に葬られたと書いてある」
「どうする?大阪府に許可を貰うか?」
「いらないと思う」
星岡はポカンとした顔をした。
「なんで?」
「あの五輪塔は、陸奥宗光から私達…つまり、星岡幸広と遠藤理香子に所有権を譲渡すると書いてある。あれは私達所有の五輪塔になったみたい」
「なんで俺達に?」
「総理大臣にまで登り詰めた陸奥は、真相を言えなくなってしまったのね。坂本龍馬暗殺は明らかに間違いであり、維新は迷走し混乱し陸奥を持ってしても成功とは言えない物になってしまった。その責任は陸奥自身にも有り罪を問われなければならない。遺体はこの手紙を裏付ける物証であり、刀争による傷が無い事が証明となる。史実に暗殺者達の間違いを刻むよう要請すると…」
「開けて良い訳か…でも」
「でも?」
「うん…それに意味が有るか?陸奥は久利坂さんに言われて、暗殺は止めたんだ。橋本久太夫がやってしまったのは事故だよ。ヤツはレム大佐に斬られて死んだ。それで済んでる話じゃないのか?」
理香子はゆっくり星岡を見た。星岡も見返した。
「済んでないの。陸奥の後ろには、サトウやパークスの思惑が有る。その思惑は、明治だけじゃなく大正昭和平成にいたるまで、日本をイギリスの国益に沿うようにコントロールしている。そのコントロールにハマらないようにただ一人坂本龍馬だけが戦ってた。
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