ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第5章 捜索
女性は、ショートのいわゆるオカッパで作務衣を着ていた。お寺のお庫裏(くり)さんなのだろう。30代後半くらいと、理香子は見た。利発で活動的に見えた。
「こちらは何と言うお寺さんですか?」
「称名寺(しょうみょうじ)と言います。陸奥先生がお好きなんですか?」
よく通る澄んだ声だった。
「はい。興味が有って勉強させてもらってます」
「立派なお宅でしょ?私どもの寺も陸奥先生がこのお宅を作られた時に、先祖が呼ばれて京から移転して来ました。ご恩がたくさん有ります」
理香子は、頭の中に京の古地図が浮かんだ。
「京は河原町ですか?」
女性は驚いた顔で理香子を見た。
「はい」
「蛸薬師下?」
「はい。龍馬さんが亡くなられた近江屋さんの土蔵の裏手と聞いてます」
星岡も思い出した。久利坂と小谷の会話に、裏の寺の五輪塔に遺体を隠すと有った。
「あの五輪塔も河原町から?」
「そう聞いてます。二つ有って、ひとつは東山の高台寺さんに、移転する時に行ったそうです。陸奥先生の指示だと聞いてます。理由はわかりません」
どちらかが坂本龍馬で、どちらかが中岡慎太郎だ。理香子は慎重に聞いた。
「五輪塔の事で何か伝わってる事は有りませんか?」
女性は明らかに動揺しているのが二人にも感じられた。
「有ります。五輪塔の由来を尋ねる人が現れたら、開くように言われている巻物が有ります」
「それを開いた事は?」
「有りません。由来を尋ねられたのは、あなたが初めてです」
女性は、竹箒を立て掛けると歩み寄って来て、竹で編んだ戸を開けた。


本堂に案内されて、お茶が出た。
「住職が参りますので、お待ち下さい」
と言って、二人だけになった。
「理香子。俺達が来る事を予測してたのかな?」
「久利坂さんなら出来る。この時代なら真相が明らかになっても罪を問える人物はいない。レム大佐の事を抜きにしても毒殺計画は存在して、私達が居ても居なくとも暗殺は実行された訳だし」
足音と衣擦れの音がして、立派な袈裟を着た住職が現れた。まるで、特別な儀式のように複雑な所作をして二人の前で合掌した。
「先祖道俊の言い付けにより。文書を開きまする。エンドウホシオカ様。お待ち申し上げ候う」
住職はエンドウホシオカの意味は不明に違いない。しかし、その言葉を聞いた瞬間…二人は震えた。
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