ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第5章 捜索
高い塀が巡らされ頑丈な門が陸奥らしさを感じさせた。清地蔵や家隆塚は母屋の裏手になり、門は勝鬘院多宝塔側に位置している。門は開いており、観光客が出入りしていた。門を潜ると、チケット売場があり入館料500円と書かれている。チケットと共に渡された三つ折りのパンフレットには、旧陸奥宗光邸記念館と印刷されている。
「最後を見ろよ。久利坂夕陽ヶ丘保存財団って凄い。大成功したんだな。この日本庭園金掛かってそうだ。すげえ鯉が泳いでる」
理香子は無言で順路を歩いている。陸奥は艶聞が絶えなかったと言われている。つまり、女性関係が絶える事が無かった。そこかしこに洒落たデザインが施されている。武骨な塀と門が陸奥の用心深さを示しているなら、母屋は陸奥の女性関係を現しているのかもしれない。2度結婚し、二度目の妻は鹿鳴館の華と呼ばれた美人だ。
「陸奥の経歴…最後に総理大臣になってるぞ。こりゃ改変し過ぎだ」
「久利坂さんはリセット前の明治で、坂本龍馬と陸奥宗光を30年見てた。成功しない方が不思議ね」
「でも肺炎だったんだろ?どうしたんだろ?死んだのも肺炎じゃなくて、老衰になってる」
「それも久利坂さんが完治させたかもね」
二人は母屋の中を靴を持って、順路を歩いてゆく。客間に書斎に寝室、清子の部屋…。
「解説…清子さんは死んでない。外務官僚と結婚か…清地蔵はなさそうね」
台所に抜けて、勝手口から靴を履いた。外に出た。
目の前に土盛りが現れた。手入れされた樹木に包まれて、家隆塚の石碑だけが手前に建っていて、五輪塔も周回道も無い。
「当時の姿そのままって訳か…五輪塔はどこにいったんだろう」
星岡のガッカリした声を聞きながら理香子は、清地蔵が有った方向を見た。清地蔵は無く、墓石が建っている。


「これは陸奥の墓ね。これは父親の墓。あ~小松帯刀の墓がある!これは、奥さんね。子孫は鎌倉に移ってないのかな…」
「オイ…理香子」
「なに?」
低い生垣を挟んで、墓地の向こうに寺が見えた。その庭に見たことの有る五輪塔が有る。左手に竹を編んだ簡単な戸が二人を誘っている。
「順路じゃないぜ。表に回ろう」
そこに、竹箒を持った女性が出てきた。
「すいません!ちょっとお聞きしたい事が有るんですが?」
竹箒の女性は不思議そうな顔で
「はい?」
と答えた。
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