ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第3章 阻止
久利坂は、元に戻る前の世界で明治を30年生きた。陸奥とも深くはないが坂本龍馬を介して関係した。彼は暗殺の企みを、秘匿し続けた事になる。陸奥の秘密主義は有名だが、まさか此処までとは久利坂も思わなかった。
久利坂は、陸奥のカミソリと呼ばれた理論的思考に必殺の言葉を放ってみた。陸奥は、菊屋の二階窓越しに外を通る エエジャナイカの行列を眺めている。
「伊達さん。伊達さんはどの場所に立って居られる?エゲレス商人のいる神戸?それとも京師で?」
陸奥は、けげんな顔をして久利坂を10秒程見つめた。
突如…「やめよう」
とだけつぶやいた。主語が無い。
「何を?」
橋本久太夫が問い返した。
「今夜の事しか有るまい」
「いまさらどうした?臆したか?陽之助」
「橋本。我らはサトウに乗せられたのよ」
「何に?」
「エゲレス武器商人の金儲けだ。武力倒幕はエゲレスの商売のネタだ」
「しかし…唐突すぎるぞ。何故考えが変わった?」
「見る方向よ。新しい政府には、エゲレスの思考を取り入れねばならん。進んだ新しい考えが必要だ…しかし、その中にエゲレスの都合が紛れ込んでいると…そう云う意味であろう。久利坂さん」
久利坂はとぼけて答えた。
「私はサトウの用心棒に過ぎません。そこまでの事は申しておりません」
「良い。サトウには伊達が勝手に辞めたと言っておけ」
黙っていた小谷耕蔵が口を開いた。
「幻術(めくらまし)から覚めたようだ。言われればその通りだ。倒幕を叫んでいるのは、サトウに繋ぎが有る者ばかりだ」
橋本久太夫は、籠に入っている軍鶏を見た。
「これはどうする?」
陸奥はアゴを外に振って答えた。
「近江屋で坂本さんと喰えばよい。毒抜きでな」
「そうか!毒抜きなら我らも喰えるな!」
陸奥 橋本 小谷は笑った。久利坂だけが冷たく顔を硬張らせていた。
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