ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
ソングライター ホシオカ ー陸奥篇
完結
発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/17
最終更新日:---

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ソングライター ホシオカ ー陸奥篇 第2章 四天王寺前夕陽ヶ丘

2人は一週間普通に働き、普通に生活した。ただし、日本史研究員の理香子は、微妙なズレに悩まされ続けた。ちょっとした順序が入れ替わったり、有ったはずの事が消えたり変わったりしているのだ。それらを見つけて、覚え直さなければならない。日曜に星岡がアパートを訪ねると、かなり疲れているように見えた。
「大丈夫か?清地蔵(さやじぞう)行くのやめるか?」
「行く。来週はもっと疲れてそうだから」
2人は地下鉄で名古屋駅に向かった。


新幹線のぞみが名古屋駅を離れ、おしぼりと乗車券の検札が終わると、星岡は聞いた。
「疲れてるとこすまないけど、清地蔵の講義を頼む」
「ザックリ言うと、陸奥の娘さんの清子(さやこ)さんが21才で亡くなってるの。その清子さんの供養に陸奥が建てたお地蔵さん」
「なんで誰でも知ってる程有名なんだ?俺は知らないけど」
「日清戦争の講和条約交渉で、必ず出てくる話があるの…」
「実は、その清子さんがアドバイスしてたとか?」
「都市伝説のヨミスギ。ちゃんと聞くように」
「はい。理香子先生」
「講和条約交渉の最中、陸奥の顔色が悪いので、伊藤博文が問いただすと、娘の病状が悪いと言うので、君は帰りたまえと言って、帰したって話。この時は清子さんは持ち直したんだけど、陸奥が講和条約での功績を逃した一瞬だったのね。功績は伊藤に行ってしまったの」
「清子さんはどんな病気だったんだ」
「文献のほとんどは、病気としか書いてないんだけど、どうやら肺炎だったみたいね。陸奥自身も肋膜炎にかかるし、秘書だった原敬も肺炎にかかるから。きっと流行ったんだね」
星岡は缶コーヒーを口にした。
「…墓じゃなくて地蔵なんだな」
「別に女性の墓を建てられる時代じゃ無かったから、お地蔵さんにしたのかもね。陸奥も関わった日清戦争で、たくさんの人が死んだ報いが娘に行ったと考えたかも…」
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