光る指先
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発行者:Tira
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/11/25
最終更新日:---

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光る指先 第1章 弱みを握って
「ごめんね、帰る所だったのに」
「いえ、別に」
「すぐにお茶を入れるから。コーヒーかジュースの方がいい?」
「お茶でいいです」
「そう……。冷たい方がいいわね」
 初めて入った新築の家。十五畳程ある広いリビングに通された泰氏は、対面に置かれたソファーに腰掛けた。大きな薄型のテレビが壁に設置され、専用のスピーカーが部屋の隅に置かれている。映画でも見れば、臨場感溢れる音で楽しめそうだ。
 亜希子はグラスにお茶を入れると、対面に置かれたソファーの間にあるガラステーブルに置き、泰氏と向かい合う位置に座った。
「どうぞ」
「はい、いただきます」
 出されたグラスを手に取り、一口だけ飲んで亜希子を見ると、彼女は女性らしく足を揃え、両手を太ももに置いて軽く拳を作っていた。
 挨拶程度しか接点の無い亜希子だが、普段の彼女とは少し様子が違う気がする。緊張しているのか、口を開くのを躊躇っているように見えた。
「あの、僕に何か?」
「え、ええ。その……」
 最初は泰氏の目を見ながら話そうとしていたが、すぐに視線を落として言葉を詰まらせた。
「もしかして、夕方に駅前で会った時の事……ですか?」
「あ……。え、ええ、そう。あの人と一緒に居た事、誰にも言わないで欲しいの。その、見なかった事にしてくれないかしら」
 先に泰氏が話を切り出した事に少し戸惑ったようだ。しかし、どう話を切り出そうかと悩んでいた彼女にとっては、自分から話さなくても良くなった事に若干安堵したのか、微妙な笑みを浮かべた。
「どういう事ですか?」
「分かっているでしょ、野々村君も」
「……不倫ってやつですか?」
「そうね。……否定しないわ」
 泰氏はグラスを持ち直すと、もう一口お茶を飲んだ。平静を装っているが、内心では激しく鼓動が高鳴っている。
 偶然にも美人妻、伴条亜希子の弱みを握ろうとしているこの状況に。
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