手のひらの上のファンタジー
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発行者:真野まきや
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2012/11/28
最終更新日:2012/12/04 20:46

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手のひらの上のファンタジー 第1章 手のひらの上のファンタジー
~ワニのジョルディール~


【第一話/カバさんがやってくる】



君は、ワニのジョルディールを知っていますか?


この世で一番、ワニっぽくないワニって言えば、アフリカでは、知らないものはいないくらいでした。


ワニのジョルディールは、サバンナの奥の沼地に暮らしていました。


大きくて、かたくて、平べったい体。


短い四本の手足、とんがってぶんとしなるシッポ。


ギザギザな歯と、大きな口。


すがたかっこうは、他のワニたちと同じでした。


でも、ジョルディールには、たった一つ、他のワニたちとは、違うところがありました。


それは、鳴き声です。


月夜になると、


「ジョルディール」


と鳴き声を上げるのです。


それで、いつしかみんなから、ジョルディールと呼ばれるようになったのです。


ある月夜のこと、いつものように沼のほとりでジョルディールが鳴いていると、どこかから、大きなカバがやってきました。


「やあ、ジョルディール。君の声を聞いてやってきたんだ」


「やあ、カバさん。会いにきてくれて、ありがとう」


「ところで、君が狩りをしているところは、見たことないな。君のギザギザな歯や、するどいシッポが、何のためについていると思うんだい?」


「何のためだろう? 考えたこともなかった」


「きまっているじゃないか、そのギザギザな歯は、魚や動物たちを腹いっぱい食べるためさ。
そのシッポだって、ぶんとしならせて、思いっきりぶつけてやれば、誰だってイチコロさ」


「そうだったんだね。でも、僕にはそんな気は起こらないなあ。たとえば、そうだねぇ……うんうん、そうだ」


ジョルディールは、何かを思いついたように、歯をカチッと鳴らし、カバの目の前にやって来て、

「君の大きな歯を磨くのに、僕のシッポは、なんて便利なんだろう?」

ジョルディールはそう言うと、ぐるりと後ろを向いて、緑の藻(も)がいっぱいついたカバの歯に、とがったシッポの先を近づけました。

「まった! ジョルディール。そんなことを言って、本当はそのとんがったシッポで、わたしの口を一突きして、食べてしまうつもりなんだろう? 」

「けっして、そんなことはありません。この声に誓って」


「ジョルディール。ジョルディール」

ジョルディールの鳴いている声を聞くと、不思議なことに、カバは信じてみようという気持ちになりました。
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