女子なんかいらねぇ
第5章 ☆太郎と次郎1・俺たち、どちらも一人ぼっち
タバコを吸いながら、自分もまたヘッドホンで音楽を聴きながら、のんびり屋上で横になっている南極太郎。心地よい太陽の光と風を感じながら、何気なく目を動かした。起き上がって金網の方を見れば、誰かが一人よじ登っているではないか。
あれはもしかして北極次郎か?
太郎は体を起こすと、気になったので声をかける。
「上にのぼって何すんの?」
驚いた次郎は振り返ったが、目に涙。それも現在進行形の涙。目にした太郎の気持ちをドキッとさせる涙。金網を掴んだまま、その涙目で下を見る次郎は思う。声をかけたのが南極太郎だから余計に切ない。少し美少年で異常にモテる奴、次郎にすれば敵。
「おい、お前まさか自殺でもするつもり?」
驚いた太郎が真下から見上げて声をかけるのだが、次郎は無視してどんどん上っていく。彼は潔く大輪の死に花を咲かせるつもりだ。マイナスのエネルギーが発散されている。
「待て、自殺する理由って何だ? それくらい聞かせろよ」
そんな風に言われて、ムカつくと思った。でも次郎は、どうせ死ぬのなら正直に言おうかと思い直す。死に行く者に恥じもクソもないと考えたかもしれない。
「一人人ぼっちだから、女の子に相手にされないから」と、吹っ切れたように涙の台詞。それを口にしたら死ぬしかない。
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