女子なんかいらねぇ
第3章 ☆高校生になっても変わらねぇ・太郎の心がドキドキする1人
「またか……」
自分の靴箱を空けたらラブレターが落ちてきた。高校生になった南極太郎。ほんのりな美形に磨きがかかっている。男と女の中性的な魅力さえ漂う。日本中の女子が黙っていられないほどだ。
いいなぁ太郎はモテてうらやましいよ、そんな事を隣のクラスメートが言った。他の場所にいるクラスメート達も言った。
太郎はラブレターを見る。いかにも女子という丸みのある可愛いな字体。それを見るだけで忌々しい過去が蘇りそうだ。
「ほら、欲しけりゃくれてやる、これでお前もモテモテ」太郎はラブレターをモテないクラスメートの男子に渡していく。遠慮せず受け取れとか言いながら渡していく。
待て太郎! 一人が立ち去ろうとする太郎を呼び止めた。
女の子の気持ちを粗末に扱うな! とか言う。
「何が女の子の気持ちだ、よくそんな恥ずかしい台詞を言えるな」
と、心に傷を持つ少年が怒る、それほど白々しい台詞があるものかと。女の子の気持ちと聞かされたらムカつくばかり。握った手でロッカーを叩き周りを驚かせるのは悲しい自己防衛。
屋上でタバコを吸おうと思った太郎。歩き出してから振り返る。そして後ろにいるクラスメートに向かって叫んだ。
「女が俺の魂を粗末にした、だから俺も手紙を捨てるんだ」
その叫び、並々ならぬ憎しみと怒りに満ち溢れている。だからクラスメート達はヒソヒソ言い合った。なんであんな奴が女にモテるんだろうと。彼らにとって南極太郎は敵にしか見えない。
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