時空の飛翔
時空の飛翔
成人向
発行者:上宮知樹
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:SF
シリーズ:時空の飛翔

公開開始日:2012/11/05
最終更新日:2014/04/18 12:45

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
時空の飛翔 第1章 昭和
小瓶は割れる事も無く床に転げ落ちた、いや、転がる強度は無い、転げようとすれば即座に割れるように特殊な加工がされていたはずだ、だから、持ち歩く際も指で潰してしまわないように細心の注意が払われていたのだ・・・緑色に包まれた鉄男が次第に透けて見え始める、そして、どんどん薄くなり、背景の鉄の床や壁が鮮明になっていく・・・一体何が起きているんだ!
文字通り、鉄男は消えて居なくなった・・・青酸の小瓶が転がり、そのままぴたりと止まる間での出来事だった・・・一体何が起きたのか?その時、あの宇宙人の声が聞こえて来た、「我々は鉄男を連れて行く」
何の為に?と問い返したが答えはなく、「お前とはまだどこかで会う事になるだろう」とだけ答えが返って来た・・・鍵を開けて中に入ったが鉄男はどこにもいない、箱の中、どこをどう見まわしても鉄男の姿は無い、透明になっただけかと思い、手や足を振り回し、感触や気配を感じようと試みたが何も無かった、文字通り鉄男は「消えた」のだった・・・真田は事の顛末を逐一確認する為に、外に居た同僚二人を呼び込み、中を確認させた、彼らも、鉄男の姿を見る事はなく、地下室を隅から隅まで探したが、何一つ見つからなかった、何故なら地下室の入口は一つしかなく、もしも誰かが通り抜けようとすれば、絶対にそこを通る以外に無かったからだ、ただ一つ変わった事があるとすれば、箱の内部に今までには無かった硫黄の臭気が漂っていた事だけだ。同僚二人は、真田の説明を疑う事も無かった、元はと言えば、特異な人間であり、何が起きてもおかしくは無かったからだ・・・三人で殺処分は完了と報告しておけば、上層部も何も言わないだろうと打ち合わせ、架空の報告書を書いた。
死体はそのまま火葬にし、骨はそのまま砕いて下水に流したと書いておいた。
鉄男の居ない廃工場は不要となり、施設の解体と撤去、証拠の処分が命じられた、上層部にしても、敗戦の準備があり、益の無い実験の事などどうでも良くなっていたからだ・・・他の二人は元々軍医であった為、戦地へ派遣されていった、真田一人が、撤去作業を見守り、証拠の隠滅を任されたのである。
真田は元が大学の教授だった・・・大学に在籍、軍の研究所に勤務してはいたが、急きょ鉄男の研究を命じられたのである。鉄男の研究が恩師である真名瀬教授の研究テーマに似ていた事から、鉄男にはひとかたならぬ思いがあった。
9
最初 前へ 6789101112 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ