Marble Glace
第1章 プール
これで、彼がやめてくれると思ったから。
案の定、彼は、ガッカリしたように項垂れてしまった。
「…あーあ…せっかく盛り上がったのに…つまんね~…」
お湯から両手を出し、外のタイルに両手を伸ばして俯く。
「こんなところでエッチなこと考えるからだよ…帰ってからだっていいじゃん?」
言ってから思うけれど、これでは私が帰ってからエッチするのを期待してるみたいである。
余計なこと、言わなきゃよかった。
テンションを戻す為に言った言葉が逆効果になってしまい…
「…真奈美も俺とエッチしたいの?」
なんて聞いてくる始末。
「…えっ…いや、そうじゃなくて…」
「だって、『帰ってからでいい』って言ったじゃん?」
「って言うか…あの…」
彼は単純でちょっとバカな男なので、完全に私が言った言葉を勘違いしたみたいだった。
「俺ね、真奈美とだったらドコでもするよ?真奈美がいいなら、ドコでもいいんだもん」
急に機嫌が良くなったのか、振り返り私を見てニッコリ笑うと、ピラミッド風呂から上がり、そして手を伸ばしてくる。
「…出よ?違うところ行こ?」
悪気のない笑顔なんだけれど…
実はこの裏では、彼の別な企みが…。
ピラミッド風呂の隣のフロアに移動すると、そこは大きな温泉があり、数組カップルが遊んでいるのを目にした。
彼はそこも抜け、どんどん奥まで歩く。
ふと、開けたところでちょっとビックリした。
個室がたくさん並んだところに出たから。
「…ここね、家族風呂なんだ。唯一裸で入れるところ」
以前来たことがあるのは満更ウソでもないようで、そう言った彼は、更に奥まで私を引き込むと、奥から二番目にある部屋のドアを開けた。
中をキョロキョロ確認して、私を見る。
「ココにしよ?入って?」
グッと手首を引っ張られ、言われるまま中に入った。
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