取り残された乙女たち
取り残された乙女たち
成人向完結アフィリエイトOK
発行者:日向章
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/25
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
取り残された乙女たち 第9章 振り絞る汗の匂い
 さっと多佳子の顔色が変わった。
 命じられて苦行を強いられるのと、命じられて親愛の情を表現するのでは、後者のほうが明らかに屈辱的だ。
 好きでもなく信頼してもいない男に、愛おしげに抱きつくなど、十八歳の乙女が平常な気持ちでできるわけがない。

 しかし彼女は唇を噛んだままうつむいた。
 拒否すれば自分たちでなく、仲間全員が酷い目に遭うと脅されているのだ。
 拒否はできない。

 初夏の風が髪をなぶる。
 まだ幼さの残る顔にかかった髪をかき上げ、少女は決心したように男を見上げた。
 笑わなきゃ。

 彼の首に腕が回された。
 半袖のトレーナーの腋の下から、少女の汗が臭った。
 はぁ。はぁ、と 吐く息は荒く、少女の食べたものの匂いがしたが、それが不思議と彼には不快ではなかった。

「よし、よし、よくやったぞ」
 彼は陸上コーチの手つきで、多佳子の頭を撫でた。
 ゼーゼーと息をつく少女はされるがままになっている。

 それをいいことに、彼は後頭部に置いた手をすっと下に下げ、トレーナーの背中に置いた。
 ブラジャーの線に触れ、ホックの部分を撫でると、少女は一瞬びくりと身を震わせたが、抵抗はしなかった。

「祝福のキスをしてやろう」

 男は再び多佳子の後頭部に掌をあてがうと、そのまま髪をつかんでぐい、と引いた。
 乱暴に上を向かせられた顔に、怯えが走っている。

 彼は叱咤した。
「ほら、祝ってもらうんだから、嬉しそうにしろ。彼氏のキスを待つときみたいに、うっとりした顔できねえのかよ」

 そんなことを言われても、と少女は泣きそうになった。
 これまできちんと付き合った男は数えるほどで、自分からキスをせがんだこともない。
 しかしいまはこの男の歓心を買わなければ身の危険につながる。
77
最初 前へ 74757677787980 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ