取り残された乙女たち
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発行者:日向章
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/25
最終更新日:---

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取り残された乙女たち 第9章 振り絞る汗の匂い
 整備されたグラウンドの上を、少女たちが走っていた。

 村内唯一の運動公園の空は晴れ渡っている。
 視界を遮るものもなく、グラウンドからは、他県との県境になっている山脈の稜線が臨めた。
 地面からゆらゆらと立ち昇る熱を、初夏の爽やかな風が時折払っていってくれる。

 一周四百メートルのトラックの直線部を、少女二人がこちらに駆けてくる。
 ゴール地点に立つ男は、彼女たちがまるで自分を目指して突進してくるような錯覚に落ち、ふと頬を緩めた。
 まるでドラマの中のプレイボーイじゃないか。
 これまで一度も複数の女性から迫られた経験のない彼は、ひっそり苦笑した。

 向かって左側の娘が二、三歩先んじている。
 たしか多佳子という名前だった。
 唇を噛んで切なそうに顔を歪める表情が、どこか嗜虐欲をそそる。

 遅れているのは瞳という娘だ。白いトレーナーの胸が上下にぶるんぶるんと揺れている。
 下から支えてやりたくなるほどだ。
 本当に後であの胸を、俺の手でぶるぶる揺らしてやろうか。男は思った。

 彼が命じた百メートルダッシュは、やはり多佳子が勝った。
 先にゴールラインを割った少女は、タッタッタッと駆ける足を緩めながらこちらに近づいてくる。
 見上げる目には、言われたことをきちんとやりました、と書いてあった。

 続いて瞳も駆け寄ってくる。
 ハッ、ハッと荒い息を吐きながら、小動物のように怯えた目で彼をうかがう。
 二番手になったことで立場が悪くなったのを心配しているのだ。

 従順な雌奴隷たちを見ながら、男はぞくぞくするような満足感に浸っていた。
 十八歳の乙女二人の生殺与奪は、この手の中にある。

「二人とも、真剣に走ったようだな」
 少女たちが頷く。
 当然だ。
 全力疾走しないとひどい目に遭わせるぞと言われていたのだから。

 男は本当の体育教師のように、走り終えた彼女たちを手招きした。
 多佳子と瞳は肩を上下させながら、本当の女子生徒のように彼の前に並んで立った。

「速かったな、多佳子」
「はい……頑張りました」
「よし、優勝したマラソン選手みたいに、俺に抱きつけ」
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