取り残された乙女たち
第8章 獣たちに身を委ねて
取り残された状態の男は、静かに後ろに下がった。
春菜の半裸の背中の横には、やはり自分で卵を塗り込めて快感をむさぼっている絵里の姿がある。
こちらも恥ずかしげもなく、敏感な乙女の胸を汚い獣の舌に這わせるままにしていた。
(やれやれ、女ってのはこうも快楽に正直なのか……)
二つ並んだなめらかな背中を、男は半分呆れて眺めた。
二人とももどかしげに腰をむずむずとさせている。
よし、こうなったらもっと辱めてやろうじゃねえか。
「おいお二人さん、楽しんでるところ悪いんだけどな、次の命令だ」
「は、はい?」「なんですか……」
斜めに捻ってこちらを見るそれぞれの顔が、そろって紅潮している。
二人ともだらしなく唇を半開きにし、春菜はその端にまた唾液の糸を垂らしていた。
男が言った。
「おまえらさっきから、もどかしそうに腰振ってるじゃねえか。遠慮しねえで、もっと大きく振ってみろよ」
「え、腰をですか……?」絵里が訊く。
「そう、せっかくだからケツ見せて踊れ。ジャージを下げろ」
「いやっ!」
幾分理性が残っている絵里が首を振った。
たしかにジャージに包まれた腰は、さっきから刺激を求めている。
しかし男に背を向けた状態でそれをずり下げ、尻を丸出しで腰を振るなどということができるわけがなかった。
場末のストリッパーでも、そんな屈辱的なポーズで男に媚びは売らないだろう。
しかし隣りの友人はそうではなかったようだ。
従順に頷き、「ショーツも下げるんですか……?」とジャージの腰に手を掛ける。
その表情は赤く上気していて、可憐で良く笑う美少女の名残は一切なかった。
「春菜ちゃん……?」
絵里は、まるで雌猫が口をきいたような違和感に襲われた。
それに構わず隣りの春菜は、大事なものをいとも簡単に放り出すように、下半身の服をずり下げていく。
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