取り残された乙女たち
第8章 獣たちに身を委ねて
彼はそれをひと掴み取り、春菜の方へと戻ってきた。
少女は男が手にしたものを見て、胸を抱くようにいやいやと首を振る。
男は構わず非情に命じた。
「おまえも気をつけの姿勢だ」
「いやです、怖い……」
「怖くなんかねえよ。ほら、とっととやるんだ!」
春菜はしぶしぶ腕をほどき、下へ降ろした。
十九歳の可憐な乳房は豊かに膨らんでいて、先端が誇らしく上を向いている。
そこに男は手にした塩をたっぷりと塗り付けた。
春菜は上半身を硬直させたまま、「やだあぁ」と顔を背ける。
雪のように白い肌を、湿り気を帯びた塩が汚していく。
ぽろぽろとこぼれ落ちそうになるのを、男は少女をのけ反らせることで防いだ。
それは異様な光景だった。
まだ高校生のような面影を残す少女が胸をやや反らせ、異物で汚れた自分の胸を懸命に顎を引いて見ている。
その瞳は小動物のように怯えていた。
肩先が微かに震えている。
「いつも家畜が舐めている塩を塗られた感想はどうだ」
意地悪く訊かれ、可憐な乙女はか細い声をあげた。
「やだ、汚い……ひりひりする……なんだかすごくひりひりしてきました……やだ、痛くなってきた……痛い……」
「そうかそうか、じゃあ早く舐め取ってもらおうな」
男はそう言うと彼女の背中を押し、別の牛の前に歩かせた。
元気の良い若い個体らしく、牛はぴくんと反応して顔を上げる。
フゴフゴと鼻を鳴らしながら、人間の肌に付着した塩を我が物にしようとしていた。
柵の前に立たされた春菜は、後ろからがっちりと男に手首を握られた。
同時に若牛がべろりと舌を伸ばす。
次の瞬間、十九歳の乙女の胸は獣の舌に穢されていた。
「ああん!」
こんな、牛なんかに!
そう思いつつも、少女の体は心とは裏腹の反応を示し始めていた。
手を伸ばせない痒みとひりひりした刺激が、粘膜で舐め取られる!
それはいままでに経験したことのない快感だった。
相手が汚い家畜であってなお、少女の肌はさらなる舌の動きを求め、やがてそれは官能に変わっていった。
ああ、私、獣に嬲られて感じてる。
女の子として、ううん、人として恥ずかしいことなのに、この気持ち良さはなに?
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