取り残された乙女たち
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発行者:日向章
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/25
最終更新日:---

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取り残された乙女たち 第8章 獣たちに身を委ねて
「よぉ、疲れたろう? こりゃまたいっぱい取ってきたな」
 男がにこやかに笑う。

 絵里がぴたりと足を止めた。
 屈託のなさそうな笑顔の下に、邪悪な意志がちらりと覗けたのだ。
 友人の異変に気付いて春菜も立ち止まる。

 彼女に目配せをして、絵里は男に訊いた。
「この卵……どうする気なんですか?」

 春菜は漠然とした不安を振り払うように、引きつった笑みを男に向けた。
「体育館に持って帰って、皆で食べるんですよね? お昼は、ほら、軽く済ませたから」
 さんざん弄ばれながら昼食を食べさせられたことは、もう気にしてないと言外に含ませる。

 男は、ゆっくりと首を横に振った。
 再び少女たちを見据えたとき、さっきまでの額に汗する爽やかな表情は一変していた。
「いや、ここで使うんだよ」

「え?」と絵里。
「私、こんなにいっぱい食べられません」
 いかにも食の細そうな春菜が言う。

 男はその華奢な体を眺めた。
 白いトレーナーの胸をツンと突き上げている小ぶりな乳房に粘っこい視線を注ぐ。

「誰が食べるといった? ついてこいよ」

 そう言うと袋から手掴みで卵を取り出し、ズボンのポケットに詰めるだけ詰めると、くるりと背を向けて歩き始めた。

 いったい何をするつもりなんだろう。
 二人の少女は顔を見合わせながら、それでも男の後について歩いた。

 辿り着いたのは少し高い位置にある牛舎だった。
 ここも震災後に住民が避難したため、数頭の牛が置き去りにされている。
 藁と糞の匂いが混じった独特の臭気が鼻を突いたが、風通しが良いせいか、それほど臭くはなかった。

 久しぶりに現われた人間に餌をねだるように低く呻く牛たちの瞳が、少女二人の胸に刺さった。
 お腹空いてるんだろうな。早く食べさせてあげなきゃ。
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