取り残された乙女たち
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発行者:日向章
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/25
最終更新日:---

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取り残された乙女たち 第5章 瞳&多佳子
「まー君。本名は知りません。友達の友達で、いつも皆で遊んでたから」

 正直に答えたおかげで、また一口の食事にありついた。

「告白とかしなかったのかよ」
「だって、そんな。私に興味なさそうだったし」

 敏明はもぐもぐと口を動かす多佳子の頬を、スプーンで撫でた。
「こんなにかわいいのになぁ」

 金属の感触に、少女は少し身を引いた。

 頬には、自分が租借した米粒の残りが唾液と一緒に付いている。

 男の手が伸び、頬のそれを拭い取る。
 その指が再び多佳子の唇を這った。

 18歳の少女の唇に食べかすを塗りこめながら、敏明は楽しそうに言った。

「じゃあさ、俺をそのまー君と思って、その机の上から誘惑してみろよ」

 そう言うと敏明は、机の前に持ってきていた椅子にどっかりと座った。
 まるで伝家の宝刀のようにスプーンを振る。

 狭い空間にぺたんと足を着いている多佳子はためらった。

 男の手で嬲られることはある程度覚悟していた。
 しかし、自分から誘うように痴態を見せるのは、その何倍も恥ずかしい。

 しかし彼女は観念していた。
 いまの状況では男たちに逆らえないことを、十分すぎるほど理解していたのだ。

 また男がスプーンに食物をすくって差し出した。

「ほら、食べたいだろ。口を開けな」

 従順に多佳子は口を開いた。
 あーん、と食べ物を運ぼうとして、敏明はスプーンを止めた。

「俺をそのまー君と思って、語りかけてみろ」
「はい……あの、なんて言えば……」
「好きよとかなんとか、言ってみろよ」

 多佳子は目をつぶった。
 高校時代、よく一緒に遊んでいたグループにいた少年の面影を脳裏に呼び戻す。

 記憶の中の少年は、性の目覚めも知らないような幼い顔をしていた。
 目の前の脂ぎった男とは似ても似つかない。

 しかし、彼女はあらん限りの想像力を駆使して、想像上の恋人に語りかけた。

「あの……ずっと好きでした。初めて見たときからずっと気になって、気が付いたら、いつもあなたのことばかり考えるようになっていました」

「よぉし、よく言えた」

 そう言うと男はまた食事を多佳子に与えた。
 どうやら自分が想像上の彼氏を演じるのではなく、あくまで彼女に指示するつもりらしい。
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