取り残された乙女たち
第4章 彩
(1)
右足全体を柔らかい女体に包まれたまま、孝司はボランティアサークル部長の彩に顎をしゃくった。
二人の距離はちょうど由美の体ひとつ分離れている。
「よし、じゃあ最初は軽く行こうか。自分で胸を揉め」
彩は自分の耳を疑った。
「ここで……立ったまま、自分でそんなことをするんですか?」
「そうだよ」
不適に笑いながら、孝司が足の親指を軽く動かす。
彼の股の付け根辺りを嘗め回していた由美が、くぐもった甘い声をもらした。
彩は不安な顔で突っ立ったままだ。
薄いトレーナーに包まれた胸を抱きしめ、周りを見渡す。
5人の男達と10人の少女達の視線が、痛いほど突き刺さるのが分かった。
いや、一人だけ放心状態で空ろな目をしている部員がいる。
服のあちこちに白濁の液を付けた理亜だ。
自分が従わないと、皆が理亜のようになってしまうかもしれない。
彩は唇を噛んだ。
とにかくいまは、部員全員の安全確保のために、少しでも交渉する余地を残しておかなければ。
そのためには男の命令に従うしかなかった。
「分かりました……」
言うと、20歳になったばかりの少女は、ゆっくりと両の手を乳房の下に持っていく。
大きくも小さくもないふたつの膨らみをすくうように持ち上げ、また緩める。
ときどき一人で入浴しているとき戯れに乳房を愛撫したりするが、あのとき感じるかすかに疼くような感覚は、いまはない。
下卑た男達と仲間の少女達に見つめられながら、どうして快感をむさぼることが出来るだろう。
彼女の様子を見つめていた孝司が舌を鳴らした。
「なんだなんだ、つまんねぇな。もっとこう、自分で感じるように揉んでみろよ」
「はい……」
彩は素直に従ったが、やはり緊張しているせいか、性の悦びはわいてこない。
それを見て取った孝司が声を荒げた。
「おい! 自分でちゃんとできねえんならよ、そこにいる俺の仲間に手伝ってもらうか? なんなら五人全員でやってやってもいいんだぜ」
「いや! やめてください。ちゃんとしますから……」
声が震えるのを情けないながら、彩は形の良い胸を揉み続けた。
恥ずかしくて乳首に指を伸ばせないが、次第にもやもやとした感じが体の奥底から湧き上がってきた。
軽く吐息が漏れ、そんな自分に驚いた。
頬がだんだん熱くなってくる。
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