取り残された乙女たち
第10章 第10章 切り裂かれた白衣
たしかに、次第に股間は熱さを増している。
体の芯に火がついたようで、恥ずかしい部分がじんじんしていた。
奥からとろりとしたものが溢れてくる前兆がある。
心とは裏腹に、勝手に麻由の両手は前に伸びた。
「いやだ……助けてください……私、もうすぐ、すごくエッチになっちゃう……どうにかしてください……」
「だから、俺を捕まえてみろって。うまく抱きつけたら慰めてやるよ。この部屋にはぶつかってケガするようなものは置いてないし、つまづくような物もさっきどけた。安心して手探りで探せ」
そういう声が闇の中で遠ざかっていく。
麻由はこわごわ一歩を踏みだした。
視界を奪われていると、行く手に障害物がないか不安で、普通なら躊躇してしまうのだが、危険なものはないという男の言葉を信じようと思った。
早く相手を捕まえなければ体が悲鳴を上げてしまう。
二歩、三歩。少女はゆっくりと足を前に出す。
伸ばした指先が何かに触れた。
これは、ええっと……懸命に診察室の様子を思い浮かべた。
医療用具が入ったスチール棚だ。
頑丈そうだからぶつかっても壊れることはないだろうが、勢い良く当たればこちらが痛い思いをすることになる。
やはり慎重に、ゆっくり進まねば。
「どこ……どこですか……」
男の声は返ってこない。
きっと両手を前に出して室内を彷徨う姿を、嘲笑ってるんだわ。
そのとき、尻の当たりに風が舞った。
突然ショーツが空気に触れたと分かる。
後ろからナース服の裾をめくられたのだ。
「きゃあ!」
思わず裾を押さえる。
めくっていた男の手が、さっと離れるのが分かった。
再びの静寂。
麻由はおそるおそる足を踏みだした。
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