取り残された乙女たち
第1章 プロローグ
プロローグ
崩れ落ちた崖の向こうに町の公用車が現れたとき、理亜の尻を撫で回していた男の手がぴたりと止まった。
「いいか、まず俺が先にしゃべる。おまえは教えた通りに言うんだ」
「は……はい……」
斜め後ろからドスのきいた低音で命じられ、理亜は思わず身をすくめた。
この町外れの崖に来るまで、車の中で散々弄ばれ、抵抗しようという気はすっかり失せている。
それにもし抵抗したりおかしな素振りを見せようものなら、集落の中心にいる10名の仲間たちが、容赦ない陵辱の攻めに突き落とされてしまうのだ。
崖の向こうに止まった公用車から、二人の男が現れた。
二人とも真面目そうな顔立ちだったが、どこか疲れている。
揃って作業着を着込み、ネクタイを除かせているところを見ると、町役場の職員だろう。
震災後の対応に走り回っているのだ。
男たちはこちらを認めると、軽く手を上げて歩み寄ってきた。
向こうからは、わざわざ状況報告に来てくれた真面目なボランティアの男女に見えるだろう。
たしかにその通りなんだけど、と理亜は、再び動きを始めた男の手を意識しながら思った。
正面から見れば、ただ並んで立っているように見えるかもしれないが、裏に回れば、男の手は私のジャージの尻を撫で回し、白桃のような盛り上がりを楽しんでいる。
布地越しに時折尻肉を鷲掴みにされるたび、理亜は表情を変えないよう、静かに甘い吐息を吐いた。
男たちは足元に注意しながら、崖のぎりぎりまで来た。
かつて町の中心部と集落を結ぶ唯一の道路が、一週間前に起こった震度6強の地震のせいで、その部分だけすっぽりと陥落している。
つまり男たちとこちら側は、切り立った崖で寸断されているのだ。
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