取り残された乙女たち
第3章 由美
(1)
理亜が太郎に後ろから抱きかかえられるようにして戻ってきたとき、20人近くが集まっている体育館では、昼食の準備が進められていた。
入り口近くには用具入れから出された長テーブルが二脚並べられ、炊飯器はご飯の炊けるいい匂いを、湯気と一緒に周りに振りまいていた。
震災の余震で孤立してしまった集落だが、幸いにして村で唯一の小学校には自家発電の設備があり、水道も止まってはいなかった。
食料も、ここにいる男女のボランティア自身が運び入れたものが十分にあった。
状況だけをみれば悲惨なところはなく、善意で集まった者同志が卓を囲む、にこやかな昼餉の時でありえたはずだ。
しかし、そうではなかった。
この場を支配しているものは獣の論理、強いものが弱いものを押さえつける力関係が支配していたのだ。
米が炊ける机の横に敷かれた運動用のマットの上に、男が足を投げ出して座っている。
一人ではない。長い髪の少女が、男が投げ出した足の付け根当たりに腰を沈め、それを卑猥に動かしていた。
二人とも全裸ではなかった。
男は下着を着けているらしく、少女の腰が艶かにうごめく度に、ブリーフの布地らしきものが見えた。
上はオリーブ色のTシャツだ。
少女も衣服を身に着けてはいたが、何も着ていないよりずっと扇情的だ。 胸元までずり上げた薄いトレーナーに、膝まで下げたジャージのズボン。 先ほど崖で犯された理亜と同じ格好だ。
よく見ればここにいる十二人の少女達は、同じ格好をしている。
ひと目で同じ団体の仲間と見て取れた。
少女はとろんと蕩けそうな瞳をしていた。
ショーツ一枚になった腰を、同じ下着一枚の男の腰に、自分から妖しくこすり付けている。
男に快感を与えようとしているのと同時に、自らも悦びを得ようという動きだ。
おそらくは鋼のように硬くなっているであろう怒張に、乙女の花弁を戯れるように、ただれるように塗りこめていく。
愛液は自分と男の下着を濡らし、ほとんど直に接しているのと変わらない感触のはずだ。
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