ワタシのハンカチ王子サマ
第1章 Prologue
「美桜(みお),今日の合コンなんだけどさ…」
「行かない」
大学で友達に会う度に合コンに誘われては,私はすぐに断っている。
埋め合わせだろうがなんだろうが,頑なに拒否をしていた。
彼氏が出来るまでは,よく合コンにも行っていたけれど,やはり行く気がしないのだ。
羨ましいと思っていた学生同士のカップルも,今では見かけても何とも思わない。
…男の人,みんながみんな,元カレみたいな人ではないとわかっているけれど,前に踏み出せない。
踏み出す勇気が,湧いてこない。
このまま,もしかしたら独り身で生きていくことになるのだろうか…。
それはそれで寂しい,だなんて。
矛盾しているし,酷いワガママだ。
溜め息が洩れそうになる口に,今朝コンビニで買ってきたハムサンドを詰め込む。
「…うわ。このハムサンド不味い…」
少し凹みながらも残りのタマゴサンドを頬張っていると,ふと,目の前に人の気配を感じて,顔を上げた。
私の前に立っていたのは,見知らぬ男だった。
食べていたサンドイッチが不味いというのもあり,私の眉間には自然と皺が寄る。
こんな怪訝な顔をしていると,大抵の人には悪い印象を与えるだろうに,その男はニコニコと笑顔を浮かべている。
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