蛮勇割拠
蛮勇割拠

発行者:青島龍鳴
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2012/10/09
最終更新日:2012/10/23 20:48

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
蛮勇割拠 第1章 魔剣士と二人の王
そのあとに幸いにも
耳に害は残らなかったが
ガリンジャの憤懣たるや
ヨーコ姫の比ではなかった。

反乱軍の大将は
隻眼隻腕の不具者だった。
そばに侍う男が三人
筋骨隆々の大男
女性と見紛う美男子と
東国の格好をした初老の学者
三人ともにただ者でないと
初対面のヨーコ姫でも
肌から感じることが出来た。

そんな三人の高弟の前で
新たな王の頬骨に
ガリンジャは拳を振るった。
三人の怒りたるや
地獄の鬼もたじろぐほどだが
ガリンジャは怯まない。

「いったいどういう了見だ
蟇と豚の間の子相手に
慣れない間者の仕事を押し付け
挙げ句に策も教えずに
危うく耳を潰すところだ」

ガリンジャの言い分に関係なく
王を殴るなど許さぬと
大男は背中の鉈
美男子は鎖のついた短剣
学者は札のついた飛剣
それぞれ武器を構えたが
王は高弟たちを諫めた。


「ガリンジャよ聞きたまえ
なにせ我らは千の兵
貴奴の兵は万を越える。
まともに戦ってみたところで
寸分の勝ち目もない。
巨大な矢を火薬で打ち出す
新兵器の用意があったが
肝心の矢が届かない。
補給隊に事故があったと
新たな苦肉の策の末
火薬で轟音を出すことに。
貴様に知らせる暇もないまま
事を起こさねばならなかった。
まことに済まないことをした」

王がペコリと頭を下げると
高弟たちは悔しそうに唸る。
ヨーコ姫には理解できた。
この三人とガリンジャは
仲間のようで仲間でない。
王と三人の深き絆
ガリンジャだけが蚊帳の外だと。
ガリンジャが殴ったときの
三人の態度でわかった。
ガリンジャは「まあ、いい」とだけ言い
遺恨を残して決着をつけた。

それにしても新たな王
隻腕隻眼の不具の王
名前をバチョウセクという。
たった千の反乱軍で
数万の兵をろくに死なせず
城も町も傷つけず
鮮やかな勝利を遂げた
その名は大陸の隅々まで
轟き響くことだろう。
9
最初 前へ 6789101112 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ