蛮勇割拠
蛮勇割拠

発行者:青島龍鳴
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2012/10/09
最終更新日:2012/10/23 20:48

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
蛮勇割拠 第2章 獅子の兄と豚の弟
新王バチョウセクという男
玉座に座したためし無し。
荒れた城下町に出て
愚帝らの壊した町を
家屋がどうの水路はどうの
復興のため駆け回る。
そんな毎日を繰り返していた。

今日のこの日も新王は
赤毛の美男子エマヌエル
口髭の学者ロスクスと
街を駆けずり歩いていた。

三人を見たガリンジャは
「よう」と声をかけてみたが
二人の忠実な部下たちは
余所者の来訪とばかりに
ガリンジャの前に立ちはだかった。

「王は忙しくあらせられる」
「剣の鍛錬でもしていろ」
けんもほろろに扱うばかり。

「堅いことを言いなさんな」
ガリンジャは軽口を叩くと
巨体は二人の僅かな隙間を
縫うように抜いていた。

ヨーコ姫にはようやく読めた。
いくらなんでも嫌われすぎだと
疑問すらも浮かんだが
要はガリンジャが強過ぎる
これだけ虚仮にされたなら
彼らも誇りのある戦士
これでは遺恨を避けられぬ。

「何か用か」とバチョウセク。
王の素早い機転により
一触即発と思われた
最悪の事態は回避された。

「これが何だか、わかるかよ?」
ガリンジャは一枚の手紙を
バチョウセクの手に渡した。


そこにはこのように書かれていた。
『敬愛する皇帝陛下
謀叛のことはこの私めも
たいへん心を痛めております。
しかしながら援軍を
お送り致すのは難儀。
なぜなら援軍の航路には
大国ロウハンの水軍の
目を潜らなければならぬのです。
誠に勝手なことながら
兵を送ることなどは
到底不可能にござります。

カエツ国王エイカクより』


ヨーコは顔を下に向け
全てが明らかなのを知った。

彼女が捨て鉢になったのは
成功の見込みの薄い
愚帝の暗殺を企てたのは
端から故郷に戻らぬ覚悟。
父たる国王エイカクに
誇りの欠片も見いだせず
シャラハンの属国であることに
微塵の恥も感じない。
求められれば貢物
愛娘すらその一つ。

呆れと怒りと悔しさに
ヨーコが自殺同然の
計画を決めたのは
そういう経緯があったのだ。
生きて帰ることが出来ても
ありがたやと帰らないのも
故郷に帰る気になれぬから。
14
最初 前へ 9101112131415 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ