蛮勇割拠
蛮勇割拠

発行者:青島龍鳴
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2012/10/09
最終更新日:2012/10/23 20:48

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蛮勇割拠 第2章 獅子の兄と豚の弟
はてさて魔剣士ガリンジャは
山奥の寺院にいた。
木造の庵の中で
寝そべって頬杖をつき
頂に僧国チョモを置く
霊山ランマを見上げながら
暢気に欠伸をかいていた。

斜め下ではヨーコ姫が
濃い霧の立つその中で
剣技の練を積んでいた。
胡桃の実に呪符を結び
無数の実を操りながら
わざとその身を狙い撃ち
誤ることなくかわしきる。

舞うようなその練を
しばらく続けて止めにして
ガリンジャの元へと歩いた。

「屈強の魔剣士ガリンジャよ
貴男は前は私に勝ったが
練を怠けて寝てばかりでは
いずれ私に抜かれるぞ

ヨーコ姫の上からの言葉。
ガリンジャはもう一度
大きな欠伸を間に置いて
気だるそうに応答した。
「これは素朴な疑問なんだが
事が済んだのに何故帰らない?」

ヨーコの体の動きが止まった。
少しの間、山鳥の声を聞き
「理由がある」と目を泳がせた。
「バチョウセクの三人の従者
カエツ王家のみに伝わる
鋼鷹の術式を修めた
あの口髭の飛剣使い。
我が国の秘術が漏れたのか
知るまではここを出られぬ」

ガリンジャは鼻を掻いた。
確かに気になることだろうが
あの反乱から10日が経つ。
「ならば聞けばいいじゃないか」
時間をかける問題ではない
ガリンジャにはそう思えた。

「聞いただけで真実がわかるか。
慎重に策を練り
真実を口に出させるための
妙案の一つも無しに
聞き出せるはずもない」

ヨーコ姫は言い切ったが
ガリンジャは鼻を鳴らして
嘲るようにせせら笑った。
「帰りたくない帰れない
理由が他にあるのだろう」

ヨーコ姫は真っ赤になって
「根拠もなしに物を言うな」
否定の言葉を浴びせたが
ガリンジャはクスリと笑い
猫のような伸びをして
立ち上がって去ろうとする。

「いったいどこに行くつもり?」
訝しげなヨーコ姫に
ガリンジャは後ろ手で
面倒そうに手招きした。

地団駄踏みたい気持ちを抑え
ヨーコは後をついていった。
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