蛮勇割拠
蛮勇割拠

発行者:青島龍鳴
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2012/10/09
最終更新日:2012/10/23 20:48

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蛮勇割拠 第1章 魔剣士と二人の王
残されたるは愚帝の処遇。
涙と鼻汁垂らしながら
豚は王に命を乞うた。

当然、斬首と思いきや
「お助け下さい兄者どの」
命乞いの言葉によって
露になった衝撃の事実。
「兄者が謀殺されると聞き
わたしは止めに入ったのです。
国を継ぐべきは兄者だと
出来の悪いわたしより
ずっと上手く治めると。
なにより兄者を死なせたくはない。
やれることは全てやったが
欲に溺れた者達を
止まらせるに至れなかった。
今日の謀叛に驚いたが
兄者が生きていたとなれば
こんなに嬉しいことはない。
…すぐさま降服したのには
そういうわけがあったのです。
これは反乱などではない。
国を真に継ぐべき者が
帰還したに過ぎないのです。
この国が犯した過ちを
取り返す時が来たのです。
王位は無論、譲ります。
偉大なる王のために
親愛なる兄者のために」

これがどんなに酷い話か
門外漢の姫ですら
あまりのことに顔を覆った。

つまりはこのシャラハン国
本来ならばバチョウセクが
隻眼・隻腕の長男が
跡を継ぐはずだったのだ。
今日のこの反乱の奇策
思わぬ事故に遮られながら
どうにか為した有能な王。
ガリンジャの語った官僚にとって
目の前の愚弟にとって
どんなに邪魔な存在だったか
門外漢の姫ですら
手に取るように想像出来た。

王は一度、殺された。
片目と片腕失いながら
地獄の底から這い上がり
王座へと返り咲いた。
“なにより兄者を死なせたくはない”?
即席の言い逃れであると
門外漢の姫ですら
手に取るように想像出来た。

「そうか愛しい弟よ。
最愛の我が弟よ。
おれを助けようとして
お前なりに手を打ったのか」
王の暗い微笑みは
愚弟の誤魔化し言葉など
微塵も信じていないことが
その場の誰もがわかっていた。
大男の巨大な鉈も
美男子の短剣も
学者の鋼鷹に似た飛剣も
王が一言発すれば
豚の首へと飛んだだろう。
豚自身もわかっていた
だからこその詭弁だった。

「弟よ聞いてみたいぞ。
我が最愛の弟が
オレを助けんがそのために
どれだけのことをしてくれたか
是非とも聞かせてくれないか。
最愛なる我が弟が
どれほど働いてくれたのか兄としては知りたいのだ」

侮りものにされている
愚かな豚でも気付いたが
今更、嘘とは引き返せない。
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