PC売り場の誘殺3(思い出編)2
第8章 PC8・困った・何かが抜ける人は自業自得?
「ダメだ、やっぱり繋がらない!」冴内保男が焦る。彼は散歩と偽って夜のその辺りを歩きながら電話しているが、家の中では会話を聞かれては困るゆえ。
彼が困る理由は次の通り。家族で一緒にハワイに行くのなら、○△店の面々と一緒に行動する必要は無いと思ったわけである。
でも彼は昔から何かが抜ける男だった。それで49歳にもなれば修復不可能だろうか。彼は○△店の面々に自分の家と携帯の番号を教えたのに、向こう側の電話番号は聞いていない。昔からそう、何か一つしくじる。今、彼は○△店に直接電話して焦っている次第。
「どうして誰も出ないんだ」と、自分が抜けているのに相手が悪いと逆ギレしたような声。それもまた昔から成長しない所か。
明日は空港に現地集合。そこで○△店の面々にチケットを渡す予定だった。あの面々を無視するか?
しかし面々はもう行く気である。家も携帯も双方の電話番号を知ってしまっている。その時は無視できても後で逆襲を食らいそうな気配。結果として面倒な話が家族にバレてしまう。彼はサラ金にまで借金したという汚点まで持っているから不安。
家族と空港に行き、こっそり離れた時に○△店の面々にチケットを渡して後は勝手にやれと伝え、家族にバレないようにすればいいのではないかと考えた。すると急に安心感が出てきて気持ちが大きくなる。彼のような人は、気持ちの浮き沈みが激しい。
「そうだよ、別に気にするような事は何もない話だよ。何を気にする必要があるんだ?」と、彼は意気揚々と家に帰っていく。
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