PC売り場の誘殺3(思い出編)2
第5章 PC5・明日はハワイ・冴内一家の突然・「私たちも連れて行ってよ」
その日の夜、冴内保男は家族で晩ご飯。ここで次女の保子が意義ありという感じで言い出した。父だけハワイに行くのは不公平だと。私たち家族も連れて行くべきとワガママを言い出す。
グッ! と、父は思わずご飯をノドに詰めそうになる。彼はハワイに行く理由を上手くごまかす事が出来なかった。保男は塾の講師をやっている。だからハワイに行くにあたっては休日を取った。それは良いのだが、彼の勤めているところはハワイとは何の関係も無い。ハワイの学校に教えに行くと言えば詐欺師。
そこで彼、○△店で以前買い物した時の抽選で当たったんだとウソを繕った。しかし妻や娘達が「お金を払ってもいいから私たちも一緒に行きたいわ」と思ってしまったら面倒。
(今さら無理だ)保男は困る。なんせ○△店の面々が一緒に来る。しかも年頃の女が、望んでいないのを含めれば3人もいる。その者達の全てを面倒みると、サラ金で借金までして事を運んだ。今さら妻に娘が来るとは逆に困るのだった。
「何でそんなに嫌がる感じになるわけ?」
長女の保美が突っ込んだ。女は容赦なく厳しい生き物、妻であれ娘であれ。
そこで保男、ビールをグラスに注ぎながら思い出を取り返せるなら構わないよと。妻ではなく、2人の娘達にチラッと訴え。もう一度ビキニ姿で愛くるしい姿を、父が青春時代を思い返せる姿を見せて欲しい。それなら全員で行ってもいいかなと訴え。
思い出って言葉にこだわるようになったら人間オシマイよとぼやく妻に心の中で言った。お前の時代はもう終わったんだよと。
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