三毛猫は笑う
第1章 プロローグ
「だからここってば。」
クスクス、鈴を転がすような声がまたもや後ろから聞こえてくる。
振り向くが、誰もいない。
「ば、化け物?!」
男は胸ポケットからナイフを取り出す。
「化け物だと思うのに、ナイフ1つで勝てると思ってるの?」
嘲笑うかのような声だけが響く。
「う、うるさい!!」
「…うるさいのはあなた。全然美しくも可愛くもない。ブサイク。」
冷たい投げ捨てるような声に男はキレた。
「うるさい!!うるさい!!うるさい!!おまえら女はいつもそうだ!!ブサイクの何がいけないんだ!!」
暗闇にむかってナイフを振り回す。
トン、
「なっ。」
男は言葉を失う。いきなり現れた黒猫は、男の振り回している腕の上に乗っている。
「ああクロ。ゴメンなさいね。遊びすぎちゃったわ。怒らないでね。」
暗闇から現れた女の子。
5