‡ヴァージン・ナイト‡
第1章 1st stage
ざっくり纏められたちょっと硬質そうな黒髪。
精悍な顔立ち。
穏やかそうな笑顔。
チャコールグレーの上品なスーツに身を包んでいる。
それにすごく長身…!
何だか迫力に押されて、歩み寄られた分だけ、私は後ずさる。
「ようこそ。築嶋円架さん。――いや、ナイトって呼んだほうが早いかな?」
けれど、彼もまた一定の距離まで詰め寄ってきては、笑顔を刻む。
作り物みたいな、丁寧な笑顔。
けれど、「ナイト」という単語でハッとした。
「え?! あ?! …ゲーム? ハンドルネーム?!」
「そう。わが社の『chains』のヘビーユーザーだよね、君。…この1カ月ほど、毎晩ログインして、最終ステージまで来た」
「あ…どうも」
な、なんかすっっごく恥ずかしいんだけど!!
オンの話を、突然オフでされると、生活を覗かれてたみたいで!!
8