‡ヴァージン・ナイト‡
第2章 2nd impact
犬みたいに頭をぐしゃぐしゃに撫でまわされる。
バシッとそのでかい手を振り払って。
涙目になりながら、伊織に掴みかかる。
「……ず、ずるい!!! なんか、何もかもずるくない?!」
「だからハンデやったろ。ここの環境全く知りませんでした、なんていうのはお前のミスな。…拉致されてんのに寝てるお前が悪い」
「だって!! クーラー快適だったもん!!」
「あのな。普通はな、危険に対峙すると、パニックになって我を忘れるか、それとも冷静に周囲の状況を呑みこもうとするかのどっちかだよ。…でもお前、本気でぐぅぐぅ寝てたんだろ。ばーか。んでもって、この鬼ごっこを提案したのはそっちだろ」
ついでに100万処女の話持ち出したのもお前だぞ、と。
本当に余計なことまで言いだした。
瞬時に、もうこれ以上ないくらい青ざめて。
それでも、パクパク、金魚みたいに反論しようとしたとき。
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