告白の行方
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成人向完結アフィリエイトOK
発行者:廣瀬 るな
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/06/18
最終更新日:---

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告白の行方 第9章 決別の夜
 かれこれ1時間近く里歌をまっていた長野は、イライラする気持ちをつのらせていた。その上奇妙な濡れ場を見せられ、自分でも理解できないほど感情が高ぶっていた。しかし彼のそんな気持ちを里歌が分かるはずが無い。
 長野は少しかがみ込み、彼女の顔を覗き込む。それは心配しているというよりも、もっと違う感情を表していた。そう、心配した気持ちがまるで踏みにじられたとでも言うかのような。里歌はそんな彼の態度を傲慢だと思った。___本当にこの男には女の気持ちというものが分からないのだ。
「大丈夫です。自分でなんとかしましたから」
里歌は自分の感情を隠しそう答えた。
 夫と思われる男性に付き添われた幸せそうな妊婦さんと、小さな赤ちゃんを抱っこしたママ。その隙間に小さくうずくまって順番を待った産婦人科。冷たい内診台に、膣洗浄、性交後避妊薬。生理痛より苦しい吐き気の副作用。そして確かに薬が効いたという証の不正出血。
「心配してくれてありがとうございました」
どれだけ好きな人でも、もう彼には会いたくなかった。愛していたからこそ、心が壊れそうになる。しなかったことよりもしてしまったことへの後悔の方が小さいだなんて、嘘っぱちだ。
「もう、忘れちゃってください。ってか、本当は婚約者がいて、近く結納する事になっているんです」
彼女は心の中で何度も練習を重ねていた作り笑顔でそう答えた。
「あの夜は、独身最後のお遊びしたかったんです。だって長野さん、上手だって噂でしたし。私の上司なんか、床上手ってべた褒めでしたもん。それにこれで結構、本気で好きだったんですよ、長野さんのこと」
軽く、まるで遊んでいる女の人の様に
「良い思い出になりました。ごちそうさまでした」
それから普段の彼女ならばしないような仕草でちょっと舌を出し、可愛らしさを装った。むっと押し黙った彼をよそに、里歌はエレベーターを呼ぶためのパスワードを入力する。そして開いたドアの向こうに足を踏み出した。
「っていう事で、大丈夫ですから御心配なく。それよりもう会わないと思いますけど、長野さんも幸せになってね」
そこはもう安全圏。手を振り、締まるドアを見送りながら、里歌は長野が来ることのでいない場所へと移動した。
* 次が最終章になります *
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