ひみつ/はじまり
ひみつ/はじまり
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/08/06
最終更新日:---

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ひみつ/はじまり 第4章 はじまり その1
 僕が復帰して、一ヶ月が過ぎた。僕は未だ不安定だった。ある日、六年生に詩の課題を出した。君が書いた詩はメルヘンチックで客観的に見て非常に優れたものだったので、僕は授業で紹介して激賞した。漢字も計算もできない君は感性の人で、本を読むことや詩を書くことが大好きだったんだ。その後、君はノートに書いた詩を見せてくれた。その詩の一編が、僕にはとても見過ごせない内容を含んでいたんだ。
「苦しかった、こわかった。そんなことも考えずに、いろいろやる大人が嫌い」
 これは僕の行為を指しているのか? 僕は確かめずにはいられなかった。僕は決断した。無理にでも、君と一対一で話そうと。何とか避けようとする君を強引に押しとどめて、人の来ないところで二人きりになった。
「この言葉……。これ、あのこと、僕がしたこと、指しているの?」
「ううん、違うよ」
「家の人とのことかな……」
 君の返事はあいまいだ。小学校の中学年まで、両親に虐待されてきた君のこと、僕は聞いていた。
「あのこと……気にしてる? 傷ついてる?」
「……ううん。平気だよ。気にしてないよ。……でも、忘れようとしてるのに、先生が思い出させるんだもん!」
 僕は腹の底が重くなる気分を味わった。僕は悪い大人だよ。傷ついて欲しくないと思う一方で、やはり忘れて欲しくはなかったんだ。あのことを。
「そう……わかった。あと一つ、これから俺の言うことを聞いてくれ。……俺の思っていたことを」
「…………」
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