STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
第6章 5
私は性器を抜き取り、うつぶせの幸一をしっかり抱いて、少年の体温を楽しんだ。「ん……」と声を漏らし幸一が頭を少し上げた。意識は戻ったらしい。
「幸一、幸一?」少し彼の肩を揺さぶってやる。「……おじさん」気怠げな、まさに寝起きみたいな調子の言葉が返ってきた。私は幸一を仰向けにさせ、間近に幸一の眠たげな顔を見た。幸一は私の首に腕を回し、ぶら下がるみたいにすがりついた。おそらくこんなことは、幸一にとって初めてのことなのだろうと思う。
「気持ちよかった?」
幸一ははにかみながらも、私の胸の中で、「うん」と答えた。
「そうか、よかったな幸一」
と私は幸一の頭を抱え、撫でる。幸一は顔を私の胸にすりつけてきた。望外の反応といってよかった。幸一は私になついているというレベルではない。虜になっている。一時的な性の嵩ぶりを割り引いても。そうなると私も、ただ玩具にするとか、金と引き換えにもらえるものをもらうといような乾いた計算のみでは、彼との関係を保てない。私が「普通」の人間ならば、もしかしたら彼と二人「幸福」とやらを追い求めることができたかもしれないのに。私は揺れていた。
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NIGHT
LOUNGE5060