STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
第6章 5
「でもね、おちんちんの、皮の中になってたところだって、最初ちょっと触っただけでも痛かっただろ?」
「……うん」
「だんだん痛さが消えて気持ちよくなる。裂けたりはしないよ。そこはおじさんに任せておけ」
と言って私は幸一の尻を軽くぺしゃっと叩く。
「お尻の穴も気持ちよくなるの?」
幸一はまた頭をひねってこちらを見、訊いてくる。
「当然、女の人の前の穴とは違う感じだろうけど、なるよ。気持ちよくなる。女の人でも、わざわざお尻でセックスする人、いるくらいなんだから」
幸一の表情に少し安堵が浮かんだ。すでに十二分に異常な世界に引き込まれている自覚が、彼にどのくらいあるだろう。アナルの快感については、私自身はウケに回ったこともなく、直接の性交渉の相手からの伝聞でしかない。ましてや性交渉の経験もなく、前立腺もないはずの女性のアナルの快感についてなど、全くわからない。
私はシャワーノズルのヘッドをはずして、ホースだけにしてネジの部分を握り込んで持った。もちろんネジ山で幸一のアナルを傷つけないだめのやり方だ。その拳を幸一のアナルにぐっと押し当てた。幸一の背中にきゅっと力が入った。
「お尻の中を洗うよ。お湯がお尻の中に入ってくるからね。じっとしてるんだよ。動くとすき間からお湯が漏れてしまう」
幸一は腕の間に頭を埋めてうなずく。
ぬるま湯になるよう温度調節をして、カランをひねり幸一の直腸に湯を注ぐ。幸一はぶるっと震え、私の拳がより強くアナルに押しつけられるのを感じて、力んで動かないように努力しているようだった。腕と腕の間に頭を入れ、少し背を丸めて、全身に力を入れている……。
幸一の口から高いくぐもった短い声が漏れた。そして、
「おじさん……お腹苦しい……」
と本当に苦しげな小さな声で私に訴えた。私は握り拳をぱっと幸一の尻からはなしてやる。幸一のアナルからびゅっとぬるい湯が噴き出し、それからちょろっと流れた。ほとんど異物の混じらないきれいな湯だ。異臭もない。浣腸は必要ないな。後日の機会にとっておこう。私は一応、親指でホースの先を押さえて、勢いよく拡がる湯で床を洗い流した。
66
NIGHT
LOUNGE5060