STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第4章 3
 思いがけず私は、私自身のことを少しずつだが幸一に話した。これまで何人もの少年と関わったが、そんなことはまずなかった。人は誰に対しても同じ態度を取ることはなく、それぞれに合わせた仮面を被り直すものと思う。私は少年には少年向けの仮面を被ってきた。素顔を見せるなどあり得ないし、そんな必要はなかった。むしろマイナスになるだけだ。

 私の左足は、また赤ん坊の頃の高熱の病によって麻痺して、動かなくなった。厳密には、左半身の感覚と運動能力が損なわれた。だがリハビリによって、足以外はほぼ回復したし、中学生ぐらいまでは本当に必要だった杖も、今はなくても歩くことはできる。だが全力で走るなどという経験は一度もないし、今後もそんな機会はないだろう。
 差別やいじめもあった。だが私はいやがらせをするような輩を絶対に許さなかったし、そういう連中を必ず後悔させた。足が動かないくらいで無力だと思ったら大間違いだ。私の逆襲は執拗で徹底していた。幸一には私は、「いじめなどに負けなかった」と抽象的な言い回しで格好をつけておいた。
 家では幸一に足を見せてやった。暑くなってくると、幸一は元々半ズボンだが、私も家では短パンになった。
 足の太さが左右でちょっと違う。長さもわずかに違う。だから動きが悪いだけではなくぎくしゃくした歩き方になる。私の小学校時代は、孤独だった。幸一とは違う意味で。私は人を寄せ付けず、一人黙々とリハビリを続けた。廊下を壁伝いに、行ったり来たり、繰り返し歩いた。いつか私は力関係の介在しない親密な人間関係とやらを、うまく取れない人間になっていた。人と戦うことはできても、人を愛せない。中学に上がるか上がらないかの頃に、自分の少年愛的嗜好に気づいたが、対等な恋愛関係を築いたことはただの一度もない。

 認めなくてはならない。私はいつの間にか幸一を愛していたのかもしれないと。でもその愛は、いびつな形を取らざるを得なかった。私という人間は変わりようがなかった。

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