STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第4章 3
 幸一は話し終えると私の顔を不安げに見上げていた。私は衝動的に彼をがっしり抱きしめた。彼が痛がるほどに。でも彼は痛いとかやめてとかいわず、自らも私の背中に手を回してくる。
「僕、おじさんの子だったらよかったのに」
 幸一は言った。この言葉はもちろん私にはうれしい。でも誰にでも言える意味のうれしさで、そう思えない私が、今少し恨めしい。私は幸一の背中に回した手で、今度はやさしく彼を撫でた。
「私は、どうしても欲しいと思ったものは、どんなことをしてでも、手に入れようとする。そういう人間だ。これまで本当に欲しいと思ったものは、だいたい、手に入れてきたよ」
 私は幸一を「自分の子供にしたい」とも言った。私の強い言葉は、幸一をほんの少し不安にさせたらしい。その不安は正しかった。でも彼はすぐに緊張を解き、私の腕に身を委ねた。幸福そうに。

 その日は後は、マンガやテレビの話をしたり、ゴムのボールで遊んだりした。私は足が悪いから、同じ場所で投げて、幸一ができるだけ正確に投げ返して、もし外れたら彼がボールを拾いに行く。

 その日の別れ際、私は、
「今度お弁当がいる時は、私の家で一緒に作ろうな」と言ってやった。幸一の元気のいい返事と、笑顔が返ってきた。

 私と一緒にいる限り、悲しみすら私が与えるものであるべきだ。醜い仮面夫婦の父母のことなど忘れてしまえ。

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