STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第2章 1
 あの年、三月の終わり、年度初めが間もなくという頃、しばらく空室だった私のマンションの隣室に、三人家族が引っ越してきた。父と母と、息子の少年だった。
 父母はともに大手の銀行員であるということだった。引越前の地名を聞けば、まあ栄転の類だろう。私の住むマンションは、エクゼクティブ向け、といわないまでも、まあそこそこのクラスの、買取のマンションだ。ある程度成功したサラリーマン家庭などが、末永い住処として購入するようなところだ。独身の私は、極めて異例。ただ私は、妻に先立たれた中年男、を演じ続けている。不自然な印象を持たれるようなことは、極力避けたい。私は普通の人間ではなかったからだ。

 夫婦の勝ち組ぶったいささか高慢な態度が不快だったので、私は自身の大学講師や著述の仕事について触れた。黒崎という名を、二人は知っていたとみえ、とたんに態度が変わったのがまた不快だった。
 そもそも、私の関心事はこんな矮小な大人二人にはさらさらなく、彼らのやや後ろに、いかにも居心地悪そうに、うつむきがちに立っている少年の方だった。
 太ってはいないが全体にからだの線は柔らかで、頬はふっくらとして、トレーナーから露出した手首から先、デニムの半ズボンからのぞく足の肌は抜けるように白い。頬はほんのりと朱に染まっていた。髪の色素もやや薄いようで、さらさらした長めの髪は、茶色みがかって、薄暗いマンションの通路でも輝きまた透けるようだ。

 しばらくぶりに訪れた大きなチャンスだ、と私は小躍りするほどに喜んだものだ。何しろこれから当分は、彼は隣に住み続け、私からのがれられない。
 私の特殊性、普通でないところの、大きな一つが、少年愛者であるということだ。聞けば新年度に四年生になるということだから、それにしてはやや大柄ではあるが、この少年は、まだ精通も発毛もあるまい。そんな頃合いから、性の手ほどきをしてやれるチャンスなど、そうはない。追えば追うほど逃げていくのがチャンスで、だからといって追うのをやめてはいけないというのが、運をつかむための大原則だと私は思うが、このように動かずして降って湧いたようなチャンスを、私は何が何でも逃すわけにいかなかった。少年の外見、体格、そして彼を覆う、この時点では理解不能な重い翳りが、私を魅了した。
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