STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第4章 3
「おじさんも幸一がお気に入りだ。かわいいよ。自分の子供にしたいくらいだ」
 幸一は信じられない、という面持ちで私を見た。幸一は本当は誰かに愛されるに値するのだ。私である必要はなかったはずなのだ。
「これまで遊んだりしゃべったりしながら、感じてきたことで十分だ。幸一の本当のお母さんやお父さんがどんな人であろうと、もしかして幸一が昔に悪いことをたくさんしてきたとしても――まあそんなことはないだろうけどね――私の幸一への気持ちは変わらない自信がある。だから約束できるのさ」

 幸一が意を決して私に話した内容は、私の想像を超えて壮絶なものだった。

 幸一の本当の父親が誰なのかは、本当にわからないという。本当の母親らしき人の記憶はある。記憶のある限りの幼い頃からは、一緒にいた女性は一人しかいない。しかし父親代わりの男はしじゅう入れ替わった。男が全くいない時期もあった。

 幸一が五歳の頃、その頃半年ばかり一緒のアパートに暮らした男に、彼の母親は殺された。

 いつも母親が男と裸で抱き合って、苦しそうな声を出すのを見るのが嫌で、男も幸一の存在を疎んじたので、彼はそういう時大概、戸外に出た。冬でも夜でも外で、「行為」が終わるのを待つ。
 だがその日は台風が来ていて、荒れ模様の中とても戸外にいられず、幸一は押し入れに隠れて、母と男の声が静かになるのを、息を殺して待っていた。だがいつもと違う母の大きな高い声が聞こえ、幸一自身正確に言葉を覚えていないが、「助けて」とか「やめて」というようなことを言い、さらに「幸一!」と彼の名前を呼んだ。
 幸一が押し入れから飛び出すと、全裸の母親は布団の上で手足を縛られており、上に馬乗りになったやはり裸の男にぎゅうぎゅう首を絞められていた。おそらく幸一が飛び出した時はもう、彼の母親は死んでいて、押し入れの中で聞いた「幸一!」という叫びが、彼女の最後の言葉だった。
 しばらく母親の首を絞め続けていた男は、ただ茫然と立ちつくす幸一を突き飛ばして、嵐の夜の暗闇の中に消えていった。

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