STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
第4章 3
当日、弁当箱を、不安に思いながら開けたら、まっとうなおいしそうなお弁当だった。卵焼きもウインナーも入っていて、友達もうらやましがった。ところが、おにぎりをかじったら、じゃりっという嫌な音と歯触りがした。おにぎりにはたくさん砂が混ぜてあったのだ。幸一はみんなの見ている前で泣きそうになり、あわててお弁当を持って、木陰に隠れて、仲間の目につかないところで涙が止まるのを待って、おにぎりを全部捨ててみんなのところに戻った。それからおかずだけを、友達と交換した。おにぎりもおいしそうだったのに食べるの早いなあなどと言われ、彼は泣いたのが周囲にばれなくててほっとしたという。
そのことがあってから、幸一は弁当のいる日は早く起きてコンビニに行き、弁当を買って、その中身を家の弁当箱に移し替えて持っていくことにしているのだそうだ。
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NIGHT
LOUNGE5060