STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第4章 3
 ある一線を越えてしまえば、あとはかなりまで自然な流れで行ける。幸一はそんな日を待望していたかのように、私との行為にずぶずぶと溺れた。そんな幸一の反応は私の想定をも上回るもので、ある意味計算違いだった。

 幸一は毎日のように、平日は短い時間だが、私の家に来た。ただ八時以降となると、親に無断というわけにいかない。早いところ、「子供好きのおじさん」と「おじさんになついた我が子」を親に認知させておいた方がよい。私が両親にちゃんと言ってから遊びに来いと言うと、幸一は困った様子でうつむいてしまった。ゲームのことといい「厳格」な両親なのだろうか。私は、一緒に行って私が話してあげる、と幸一を説得した。

「まあ、この子は先生のお仕事の邪魔をして」
 と銀行員にしては派手な感じの幸一の母親は大げさに言う。私は鼻を鳴らしたい気分になったがこらえて、こちらもしっかりとよい隣人を演じてやることにする。
「私が呼んだんですよ。幸一君は賢いお子さんですね。勝手ながら本を貸したりもしました。家事の手伝いまでしてくれるのですよ。よくできたお子さんです。長い一人暮らしですが、妻が生きていれば、幸一君ぐらいの子がいてもおかしくない私です。一人暮らしはさびしくてね。賑やかになってありがたい。代わりにと言っては何ですが、遊んでばかりではなく勉強も少しは見させてもらおうかと思います。ご迷惑でしょうか?」
 私には妻などいたためしもない。無論実子もない。だが口から出まかせはもはや板についた私の特技だ。本性をひた隠しにしないとこの世に身の置き場のない私だからな。
 母親は大喜びだった。彼女は私と親しくなりたがっている。私というより、知的な文化人の看板と、か。作り笑いで「今度お食事でもご一緒にいかがですか」などと言い出す。私はそれに適当に返事をし、幸一の背中に手を添えて、私の家に招き入れた。ドアを閉めてすぐに、「いくら稼ぎがよくてもろくに料理もしないで外で食事ばかりするのは、いい母親とは言えないね」と、渋い表情を作って幸一を見た。幸一も笑ったような困ったような顔で、私を見返した。幸一が母親によい感情を持っていないのはわかっていた。その気持ちも共有しようじゃないか。それに肉親の支えなどあてにしない、できない子の方が、私は御しやすい。
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