STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第3章 2
 私には確信がある。科学的な裏付けはないが、一つの発達心理学的な命題について。
 概ね人は、誰かの、絶対的な愛を求めている。自分が何をしようと、何を言おうと、ゆらぐことのない愛だ。こと幼子(おさなご)においては、それは必要不可欠のもので、これを得られなかった人間からは、大切な何かが喪われる。
 天上天下唯我独尊。釈迦誕生時の伝説の言葉だが、胎児の宇宙は母親の胎内が全て。この世に生まれ落ちたばかりの時は、母親と自分の空間が全てだ。そこでの絶対的庇護の欠如は、自身と人間社会への信頼を揺らがせる。
 もちろん孤児がみんな歪んだ人格になるというのではない。人はその「欠落」を何かで埋めようとし、多くは不完全ながらも埋めることができる。ある程度長じても「甘えん坊」であるといようなことも、代償作用の一つだ。ただし、うまく隙間を埋めることができる場合が多いとしても、そこに隙間があることは疑いがない。

 幸一はわずかな抵抗も見せず、私に身を任せていた。私は彼を抱きながら、インターネットの使い方を教えたり、無料のゲームで遊ばせてやったりした。流行りの動画共有サイトで、アップされたアニメ番組を見せてやったりもした。これは効果てきめんで、どうも家ではテレビも自由に見られないらしい幸一を魅了した。「本当は法律違反なんだけどね」と私は笑いながら次々に番組を再生する。幸一、罪を共有しよう、ということだ。もっとも視聴するだけならグレーゾーンなのだが。
 私は途中からあぐらになり、幸一を膝の上に乗せて抱いた。小四にしてはちょっと大柄、わずかに肉のついた彼のからだはそれなりに重く、柔らかで抱きしめると心地よい。私は右手を動かし、幸一のからだのあちこちを撫で、さすった。頭、頬、太もも、腹部……幸一は「パソコンに夢中である」というのを免罪符に、幼児やペットになすような私の行為を流されて受け入れた。私の手のひらには温もりがある。「こころが冷たい人は手が温かい」などというのは俗説に過ぎないが、私の場合は、どうか。私の触る手、揉む手に、からだの力を抜き、されるがまま、というより、本当に仔犬のようにうっとりとして身を委ねる幸一。
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