STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/07/23
最終更新日:---

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STIGMA Side-Kurosaki Vol.1 第3章 2
 私は幸一はあまり器用でもないと見て取ったし、言うとおり料理の経験も乏しいようだったが、様子を見ながら包丁も使わせて、二人協業での料理を演出した。豚肉を刻ませ、野菜のみじん切りは私が担当する。卵を割ってかき混ぜさせる。一つ一つのことを少し大げさにほめてやると、素直なはにかみと微笑みが額に汗のにじんだ顔に浮かんだ。人見知りも、冷めた感じも、仮面だった。彼は甘えられる対象を、強く求め続けていた。部分的には、歳よりずっと幼かった。そんな子が私などに出会ってしまうとはな。
 私は独り暮らしの長さそれなりに、簡単な料理には手慣れている。普段より少し格好をつけて、フライパンを返して飯を炒めた。幸一は私の期待通りの感心した目で、そんな私の姿を見つめた。香ばしい匂いが部屋に拡がった。

 出来上がったチャーハンとみそ汁を、こたつに座って二人で食べた。上出来だ。私にはもちろん下心というか悪意があるが、長い独り暮らしの中こんな愛らしい少年と二人で食卓を囲むことへの純粋な幸福感もある。私は性急になり、幸一が自ら言い出す前に、「どう、味は?」などと訊いてしまう。私にして、いわゆるテンションが少々上がっていた。幸一の返事はすぐに返ってきた。「すごくおいしい!」という幸一の早口の言葉は、これまで聞いた中で一番元気だったかもしれない。「よかった。幸一いい顔になってるよ」と私は作り笑顔でない笑顔で言い、彼の頭を撫でてやった。もう敬遠しない。自ら頭を差しだすような仕草すら見えた。
 片づけも洗いものも二人で共同作業だ。こういうのが二人の距離を近づける。話したり遊んだりが全てではない。幸一はまた額に汗をにじませ一生懸命で、楽しそうに見えた。
 それらが終わると、私は幸一にパソコンを触らせてやると言って、リビングの座卓のパソコンの前に丸い大きなクッションを置き、そこに座らせた。私は彼の後ろに陣取り、からだを密着させて腕を回し抱いてやる。四年生の男の子にするには、やや「子供扱い」の振る舞いだが、幸一はたぶん受け入れると私は読んでいた。あの両親は幸一を愛していない。あるいは世間並みに愛情はあるとしても、幼児期に十分なスキンシップを与えてこなかったのだろうと思う。

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