STIGMA Side-Kurosaki Vol.1
第2章 1
まだ部屋に入れてから一時間経っていないが、あの人見知りで、人を近寄らせない感じがぐっと薄れて、幸一は無邪気な年齢相応の少年らしい態度に変化していた。幸一が口にしたのは幸い非常にメジャーなシリーズタイトルで、うちには最新版があった。コミックと違って、この手のものは私自身が楽しむためではなく、99%、少年のための餌として置いている。ゲーム機自体もしかり。
私が「それならあるよ」と言って微笑みかけてやると、幸一の顔は嬉しさをあふれさせた愛らしいものになった。私はゲーム機のセッティング(常にテレビに接続したままにはなっていない)も彼に手伝わせた。三色コードの挿し方なども幸一はわかっておらず、今やろうとしているゲームも、たぶん初めてやるのだろう。マンガもゲームも禁止の、「教育熱心」な家庭なのだろうか。私は当たり前に幸一に同情した。
丸い大きなクッションに、私は先に座り、左半分を空けて幸一を座らせる。幸一は照れくさそうにもじもじしていたが、もはや拒絶の意思は感じられず、ただためらっているだけだ。私は手を伸ばして幸一の手首を握り、私の真横に座らせ、肩を抱き寄せてからだを密着させた。私の胸の鼓動も高まる。たぶん今の幸一とは全く別の意味で。幸一は緊張のためにだいぶ固くなっていたが、彼のからだはあたたかかった。
二人で協力プレイのできるアクションゲームだったが、幸一はまるっきりのヘタクソだった。だが失敗のくやしさを、すぐに大きく表現できるようになり、からかったり教えたりという私からのアクションも、やりやすくなった。一方で上達は早く、彼はやはりこのゲームを全くか、ほとんどやったことがないのだとわかった。
13
NIGHT
LOUNGE5060