義弟の一言で狂った私の人生
第2章 分かれ道
言葉は、合わせられた唇に堰き止められた。
突然の口づけはあまりに深く、
息がつまりそうになる。
押し返そうとしたものの、
久の体はびくともしない。
次第に息苦しくなってくるほどだった。
身をよじりながら、
無意識のまま、口を開こうとする。
唇の隙間が出来るのを
待ち構えていたかのように、
熱い舌が滑り込んできた。
わけがわからないまま、
歯列の上をなぞり舌を絡めとられる。
「ん」
わずかな吐息が漏れるものの、
その口づけは離れることがない。
強い力で抱きしめていた、
その手は、ゆっくりと移っていく。
どうにかして逃げ出そうと、
必死に抵抗する手は、
軽く押しどけられた。
「やめて。何をするの。」
その隙をついて、
やっとの思いで口づけを解く。
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