甘い毒
第14章 ◆
私と七原くんは何度も何度も喧嘩しトラブルを起こし、付き合ったり別れたりを繰り返したのだが、最後の最後は、静かに波が消えていくような終わりだった。
最後に会った時に七原くんは言った。
「ミナ…俺、本当に悪いことしたよ。毎晩お前が夢に出てくるんだよ。『お前を許さない、絶対に恨んでやる』って何度も俺に言って来るんだよ…」
全く恨まない、と言えば嘘になる。私は本当に傷ついたから。
だが、私は七原くんのことを愛していた。どんなに苦しめられても。
惚れた者が負け、ではないが、全てを許すことにしてしまったのだ。
「いいよ。もう気にしないで。私は大丈夫だから。
私は……
やっぱりまだ七原くんのことが好きだよ。」
「本当に?」
七原くんは顔を上げた。
「うん、好きだよ。」
「ありがとう…」
「じゃあ、時間だから行くね。」
「俺も、帰るよ。」
「またね」
「またね」と言ったがその後、私は「もう会わない」と決めたのだった。
本当にそれが最後だった。
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